AIに、調査担当の「リサーチャー」を一人増やしました。
生活サイト「15manlife.work」を立ち上げている時、記事を書く担当の「Writer」より先に、競合、検索、読者の悩み、反証、安全境界などを調べてもらうようにしたんです。
必要な材料を先にそろえれば、Writerは書くだけになる。最初はそう考えていました。
ところが、調査が記事を書く前の関門になりました。この記事は、AIの調査担当を増やしたのに制作が進まない時、何を先に決め、どこだけ調べるかを考えるための話です。
調査はできた。でも、記事が始まらない
リサーチャーは、かなり調べてくれました。
「今日の1個」をAIに決めさせる案。長い通知を整理する案。生活事務を減らせるか。求人票を比較する案。紙との比較。検索キーワード。競合。15manlife.workの空白。AIを使わない方がよい場面。
調査結果が悪かったわけではありません。むしろ、情報は増えました。
ただ、一つのテーマを調べるたびに、記事を書く前の確認も増えていきました。
これには反証が必要かもしれない。初心者の比較も見た方がいいかもしれない。検索される言葉を確認した方がいいかもしれない。AIなしの場合も比べた方がいいかもしれない。制度が関係するなら、公式情報も見た方がいい。
それで、ある時から「じゃあ次に何の記事を書くのか」という本来のところへ、なかなか進まなくなりました。
記事を書くために作ったリサーチャーが、記事を書く前の関門になっていたんです。
Writerから順番を変えた方がいいと言われた
この状態を見て、Writerから指摘が出ました。
管理人の一次体験だけで書けるものまで、毎回先に調査へ回す必要はない、という指摘でした。
僕たちの運用では、まずWriterが読者の一つの問いを置く。その問いで記事になるか、既存記事と何が違うかを見る。
Writerだけで書けるなら、そのまま書くことにしました。
本当に足りない外部情報がある時だけ、一点だけ調べることにしました。
僕たちの運用では、調べるとしても原則一問、多くても二、三問までにしました。
言われてみれば、その順番の方が自然でした。
記事の形がまだない段階で外を広く見れば、調べるべきことはいくらでも増やせます。先に記事の仮説があれば、何が分からないのかも見えます。
そこで、運用を変えました。
リサーチャーを前に置かない

順番を変えたあと、15manlife.workの次の記事候補をWriterに直接考えてもらいました。
そこで第一候補になったのが、「求人票の給与だけでは、生活が続くか分からなかった」という記事です。
このテーマには、月222時間働いた経験、始業前に平均23分早く着いていた記録、週ごとに勤務予定が変わった経験、別勤務地まで車で40〜50分かかる提案を断った経験、仕事内容は合っていたのに続かなかった経験がありました。
Writerは、これだけの本人一次体験で書けると判断しました。
専属リサーチャーは呼びませんでした。その後、その記事は公開まで進みました。
調査を前に置かなくても、記事は作れました。
むしろWriterが先に「何を書くか」を決めたことで、調査が必要かどうか自体を判断できました。
リサーチャーをやめたわけではない
ここは、少し違います。専属リサーチャー自体をなくしたわけではありません。置く場所を変えました。
僕たちの記事制作のレーンでは、Writerが先です。
一方で、専属リサーチャーには、自由探索のレーンを残しました。
競合を見る。検索を見る。海外の事例を見る。読者の困りごとを見る。サイトの空白を見る。別の立ち位置を考える。反証を探す。
Writerだけでは見えにくい外の世界を、自由に見に行ってもらう役目です。
この自由探索から、15manlife.workは属性から入るより、読者が困っている瞬間を入口にした方がよいのではないか、という提案も出ました。
「仕事を休みたい。でもまだ何も決めていない」
「働く量を減らしたい。でも生活費が怖い」
「辞める前に最低線だけ確認したい」
そういう状態から入る考え方です。
これはWriterが一本の記事を書く作業とは、少し違う視点でした。
サイトの確認を担当するAIに見てもらうと、大きなトップ変更までは必要ないが、「入口は状況、分類は3本柱」という考え方は使える、という評価になりました。
リサーチャーは不要だったのではありません。記事の門番にしていたから、重くなっていました。
自分の作業なら、どの確認を先に残すか
同じように調査で止まっているなら、次の記事一本について、次の順番で整理してみる方法があります。ここからは読者向けの提案です。
- 読者の問いを一文にする。「何について調べるか」ではなく、「読み終えた人が何を判断できる記事にするか」を置きます。
- その問いに答えられる本人の体験や記録を並べます。すでに分かっていることと、外部情報がなければ答えられないことを分けます。
- 足りない情報があるなら、調査の質問を一つに絞ります。「関連情報を広く」ではなく、「本文のどの説明を確かめるためか」まで添えます。
- 答えが得られたら本文へ戻ります。途中で見つけた別テーマは、今回の記事に必要でなければ自由探索の候補へ分けます。
迷うのは、「まだ調べ足りない」のか、「もう書き始めてよい」のかという境目です。確認したいことを、次のように分けると判断しやすくなります。
| 確認したいこと | 置く場所 | 次にすること |
|---|---|---|
| 本人の体験や記録だけで答えられること | 本文を書く段階 | まずその範囲で書き、答えが抜けていないかを見る |
| 制度の条件や料金など、外部の事実に依存すること | その説明を確定する前 | 必要な項目を公式ページで確認し、本文に出典を付ける |
| 今回の問いに直接答えない競合・別テーマの情報 | 自由探索 | 今回の記事の完成条件にはせず、次の企画候補として分ける |
調査を終える目安も、「関連情報を全部集めたか」ではなく、「本文で答えるために足りなかった一点が分かったか」に置く提案です。必要な事実が確認できなければ、推測で埋めず、その説明を保留するか、確認できた範囲へ記事を絞ります。
調査を消したのではなく、置く場所を変えた
今回分かったのは、「調査は不要」ということではありません。Writerが一番偉い、という話でもありません。
AIに仕事を任せる時は、担当者を増やすかどうかだけでなく、仕事をどの順番で通すかでも重さが変わる、ということです。
調査を増やせば記事が楽になると思っていました。でも、調査を必ず記事の前に置いたことで、記事を書く前の仕事が増えました。
そこでWriterを先にしました。何を書くかを仮置きしてから、本当に分からない一点だけ調べるようにしました。
リサーチャーは消さず、記事の門番から、外を自由に見る偵察役へ移しました。
もしAIで何かを作る時、作業の前に確認がたくさん並び始めたら、僕たちのように一度だけこう考えてみてもいいかもしれません。
この確認は、本当に作業の前に毎回必要なのか。
担当を消す前に、その担当を必須ルートから外せないか。
それだけでも、増えた仕事を一つ減らせることがあります。
関連する話として、AIに全部任せる話ではなかった|仕事の重さで担当を分けるパーソナルOS と AIに日報を書かせるのをやめた。入口ではなく、出口だけそろえた話 もあります。
作業だけでなく管理する仕事も増えているなら、AIで仕組みを作りすぎたら、管理する仕事まで増えた もあわせてどうぞ。


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